京都観光 祭と行事 夏越祓と六道参り

2021.10.19 (火)

京都観光 夏越祓 大祓の歴史

六月下旬には、京都の多くの神社で「夏越祭」がとりおこなわれます。この行事は「大祓」の行事のひとつであり、正月から半年の間に、私たち人間の身体や心、衣服や家屋などに溜まった罪や穢れを祓うことを目的として行われます。そもそも「大祓」は、師走と六月に行われる除災を意図した年中行事で、師走の大祓を年越の祓い、六月の大祓を夏越の祓と呼びます。

大祓は、大宝律令によって宮中の正式な行事と定められました。六月晦日には宮中で貴族たちが「大祓祝詞」を読み、人々が犯した罪や穢れを祓ったと言われています。毎日洗濯や入浴の習慣がなかった古代において、雑菌が繫殖しやすい夏を前に、衣服を新調して心身を清らかにすることで、疫病を予防するという現実的な意味を持っていました。この様な大祓の行事がやがて庶民にも広がってゆき、近代以降には多くの神社で夏越祭として行われるようになりました。

京都観光 夏越祓 茅の輪くぐり

夏越祓では、多くの神社で「茅の輪くぐり」が行われます。茅で作られた大きな輪の中を、左回り、右回り、左回りと8の字に三回くぐって穢れを祓います。その際に、夏越祓の歌「水無月の夏越の祓する人は千年の命延ぶといふなり」などと唱えながらくぐるところもあります。また茅の輪を腰に付けることで災厄から免れられるという信仰もあり、夏越の祓には、茅の輪がつきものです。茅には神秘的な呪力が宿るとする伝承があり、祇園祭の山鉾で販売される粽にも結びついたと考えられています。神社では紙で作っ日「人形」に名や年齢を書き、これで身体を撫でて自らの穢れを移し、祓う行事が行われます。またこの日に疫病除けに和菓子「水無月」を食べる習慣があります。

京都観光 六道参り おしょらいさん

東山区の六道珍皇寺では、毎年八月七日から十日まてまで「六道参り」と呼ばれる盂蘭盆のお精霊迎えのぎ行事が行われます。京都では、先祖の霊を「おしょらいさん」と呼び、盂蘭盆の時期に各家で報恩の供養がおこなわれます。この霊をお迎えする行事が「お精霊迎え」です。六道参りの時期になると、京都の花屋が共同で参道に出店を設け、高野槙や蓮などの盆花が売られます。人々は高野槙の穂枝を買い求め、本堂前で「水塔婆」と呼ばれる塔婆に、迎える先祖の戒名をしたためてもらいます。次に境内にある「迎え鐘」を撞き、水塔婆を線香場で浄め、地蔵堂前で「水回向」を行って納めます。高野槙は「おしょらいさん」の依代であり、持ち帰って仏壇に飾る盆花とします。

京都観光 六道参り 六道珍皇寺

「六道」とは、仏教でいう地獄・餓鬼・畜生・修羅・人道・天道の六つの冥界のことで、人は因果応報の教説により、死後はこの六道を輪廻すると言われています。六道珍皇寺の門前に「六道の辻」と書かれた石碑があります。「六道の辻」とは、この世とあの世の境界に当たる場所を指します。この辺りは、古来より鳥辺野と呼ばれた平安時代の葬地の麓でした。盆に帰ってくる先祖の霊を、そのような場所で迎えることは、人々のあの世に対する意識を象徴的に伝えていると言えます。

六道珍皇寺には閻魔像が祀られ、その隣には小野篁の像が安置されています。小野篁は、百人一首にも「参議篁」として登場する歌人で、平安時代の公卿です。昼は朝廷に勤め、夜は地獄の閻魔庁に第二の冥官として出仕していて、六道珍皇寺の本堂裏にある「冥土通いの井戸」「黄泉がえりの井戸」であの世と行き来していたそうです。この篁伝説とも深く絡み合い、先祖の霊を冥界から迎える行事と強く習合してゆきました。

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